<連載コラム第1回>


 高校時代の3年間に1人で家を飛び出し外泊した日数は60日以上。 その頃「旅」という言葉に憧れていた。 一方、「旅」と「旅行」の違いについても自分なりに思いをめぐらしていた。 一般的には「旅に出る」ことを「旅行」という。 しかし当時の自分の考え方によれば、「旅」は一人孤独に何かを探しに行くことであり、「旅行」とはまずあっさりと目的地に行ってしまってそこで何か楽しむことで あった。つまり「旅」はその過程を楽しむのであり、「旅行」とは目的地そのものが目的であるということになる。

 旅の交通手段には"徒歩""自転車""単車""自動車""電車""船""飛行機"とある。高校生が飛行機を使う余裕はさすがになかったが他はすべて体験した。 "徒歩"自分の体の限界を試したくなり、下駄を履いて100kmを歩く。 "自転車"自分の力を試したくなり、近畿地方を野宿しながら一周する。 "単車"知らない土地を見たくなり、四国・九州・山陰を一周する。 "自動車"バスとかタクシーを利用したけどまったく魅力はなかった。 "電車"雪が見たくなり、東北に行く。憧れの京都には2年連続で行く。 " 船 "フェリーや遊覧船に乗る程度で、これも魅力はなかった。以上は単なる目的地までの交通手段であるが、孤独とか限界とか自分の力などを知るには一番わかりやすい方法であった。



こうして、高校時代に自分なりに「旅」と「旅行」の違いの結論を出したと思う。
そこで、私の「旅」の原則−  

1.一人で出かけること。  
2.何かの目的や目標を達成すること。  
3.自分の意志で行動し、責任を持つこと。

特に「一人」というのが「旅」と「旅行」の最大の相違点である。2人以上の複数で行動すると自分だけの考えで動くことや決定することができない。一人だと行きたい方に行く、休みたい時に休む、無理をしたい時に無理をする、こういう点で自分の意志を貫くことができる。 しかし「旅」は辛く、孤独で淋しいものである。それに耐えることで、弱い心が次第に強くなる。そういうことをつらつら考えそして実際に果敢に旅をした高校時代が今はとても懐かしく思える。


今では一人で出るそういう「旅」はとてもできそうにない。 そこで「旅」を「アウトドア」という言葉に換え、広く遊びの分野の総称にして日々を楽しんでいる。でも「旅」の精神を今でも大切にしている。たとえば、ツーリングに出かけてもキャンプや自炊という極めて面倒なことは進んで実行するようにしている。


「旅」の精神こそが、私の遊びの真髄とも言える。


岡村 博文
E-mail: okamura@fuchu.or.jp
Website: http://www.fuchu.or.jp/~okamura/

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