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<連載第3回> | ||||||
そこには国境もなにもない ドタッバタッ。隣の客が慌ててチェックアウトをしている音でようやく目が覚める。AM10:00 カーテンを開け外の景色をボーッと眺める。昨夜あんなにいた多国籍な人達は見る影もなく、ブリティシュ・サラリーマンが出勤中。見下ろしている風景は、昨夜の悪夢の混乱ぶりとは打って変わってのんびりしたもんだった。 『やっぱりここはロンドンだー。だって外の景色がいかにもロンドンって感じなんだもんナー・・・』 やっと、ロンドンに来た!と実感する朝だった。 そーいえばここは何処?昨夜散々歩いたはずなのに直ぐそこにEarl's Court駅。『なにー!』 地図で現在地を確認すると、中心街からエッライ遠いことが発覚!ここを行動拠点にするには不便&不経済!!なにより多国籍な人達が怖い!!B&Bを後にし、まずは中心街に新たな宿を探すことにした。 バックパッカー心の友「地球の歩き方」で情報収集。巷では、あてにならないだの古い情報だのと不評ながらここに来ると唯一望みの綱。もうこれ無しでは生きていけない『ああ、いとおしや』と頬ずりものだった。 ダイアナ妃が結婚式を挙げたというSt.Paul寺院の近くのユースホステルが界隈では安いらしい。とりあえず人に聞きながらそこを目指す。以外に簡単に到着。地下鉄は近いし、キレイだし、何より静かで多国籍な人達がいないのがイイ!『決めた!!!』 出国前にユースホステル協会の入会手続きをしておいたので会員証を提示、あっさりチェックイン。うーん備えあれば憂い無し!なーんだ楽勝じゃーん。るんるんで重い荷物を担ぎ「自分の部屋」のドアを開けた。「・・・・・・・・・・・・・・。」そこは、薄暗い10人部屋のドミトリーだった。 「自分の部屋」ではなく「僕たちの部屋」だった。またしても多国籍な人達に囲まれるはめに。洗濯物が干してあったり、雑誌が散乱していたり、何語か分かんないけど暗闇で話してる。交互に組まれた三段ベッドに黒人青年が寝ていた。その下が自分のベッド・・・、やだなー。そーっと荷物だけ置いて出ようとすると。上のベッドの彼が気付いて、「よろしく!」と手を差し出してきた。??? ちょっと呆気にとられたが、shake hands。当たり前な挨拶だった。でも、この安心感がさっきまでの『ドミトリーブルー』を吹き飛ばしてくれた。挨拶のパワーを感じた・・・。 「おはよー」とか「こんにちわ」なんて身近な人でもしないのになー。改めてコミュニケーションの大切さを知った気がする。なんだか吹っ切れて、とりあえず身支度。食堂や炊事場、休憩室やシャワー室などの位置を確認し、近場のロンドンブリッジまで歩いてみることにする。
やっと人並みに観光ができる。ふふふふっ。その道中は平日のオフィス街、サラリーマンたちが黙々と出勤中だった。みんなにしてみれば「ブラブラしてる呑気な東洋人」なんだろーなーと、嬉しくなる。ああっこの優越感、開放感がたまらない!旅の醍醐味と全く違うところで地味に感動している。しばらく歩くとテムズ川が見えてきた。
そんなこんなで国道沿いを歩いてロンドンブリッジにたどり着く。そこは観光地らしい賑わいがあり観光客の中に溶け込んで心地よいひとときを過ごす。タワーオブロンドンの近くのキオスクみたなサンドウィッチ屋さんでtake outベンチで猫と昼食。ハムをあげたらずーっと居座ってたのでしばらく観察。しかし日本の何処にでも居そうな猫なのにどこか外人っぽい気がする。気のせい?そーいえばカラスが鷲のように異様にでかかったなー。なんか違うなー。でもなんだかんだ言っても猫は猫、仕草も接し方も日本と一緒、人だってそう。道訊いても、サンドウィッチ買ってもみんな親切。ルームメイトの黒人も陽気なアメリカ人もみんな優しい。異国に来ていながら、安心感が不思議と何処かある、何でだろ。
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