CAfe 山猫軒

京都市北区
等持院北町39-6
TEL 075-462-6004


ガロの曲から生まれた『学生街』と『喫茶店』
ガロが「君とよくこの店に来たものさ〜、訳もなくお茶を飲み話したよ〜」と歌った『学生街の喫茶店』が流行ったのは、1972年。その頃僕自身はまだ小学生であったにもかかわらず、この曲の持つノスタルジーに既に浸っていたような記憶があります。「よーし、大学に入ったらこういうインテリジェントな恋をして、インテリジェントな雰囲気に浸り、インテリジェントにコーヒーをすするのサ」などとませた思いをめぐらせつつ・・。それはともかく、世に言われているのはこの曲の空前の大ヒット以来『学生街』という言い方が定着したということです。確かにその頃、学生街と呼べるところには曲のムードを持つ喫茶店が少なくとも2、3軒はあり、そこでは学生達が「訳もなくお茶を飲み話し」ていたわけなのです。

消えてしまったあの時代の『学生街の喫茶店』
かくいう僕が大学に入ったのは1979年。曲のヒット以来7年が過ぎていました。その次の年にはバブル経済へと加速する「黄金の80年代」がスタート。子供の頃の憧れとは裏腹に、あの曲の持っていた都会の片隅のリリシズム的ストイックさを持つ店は、急激に無くなっていきました。そこから数えてももう21年。はたして今『学生街の喫茶店』は存在するのか・・。それを確かめるための取材旅行を計画。目的地は、京都です。

京都になら、あの頃のなごりが今でも・・。
日本一ジャズ喫茶の数の多かった街は京都。それもあの学生運動華やかなりし60年代後半から70年代初期にかけて。さてイメージする店は見つかるのか・・。京大、同志社界隈と歩きながらも発見できず、既に冬の早い一日は暮れかかります。と、『石庭』で有名な竜安寺の山裾へと向かう立命館大学正門近くの緩いカーブの脇にその店はまさに忽然と姿を現わしました。「CAfe 山猫軒」。半地下になった広い店内のカウンターの窓一面はライトグリーンの擦りガラスで、それを透かして隣接する立命のキャンパスの夕方の明かりが差してきます。音楽はジャズ、そして軽いボサノバ風のラテンミュージック。濃いコーヒーとフライドポテトつきのサンドイッチを味わううちに、いつしか思いは『あの頃』へとタイムスリップしていきました。
(取材日/2000年12月14日)



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