今回のはしもとひでとは、「青臭い」。自らそう言っている。
しかもかなりリキが入っている。相当に大上段であり、大真面目である。
「人生」「志」などというキィーワードが出てくる辺り、カントリー・オンラインと符合するのだが、しかし、そのテイストは相当に堅物のそれである。
とはいえ、最終的にその話がネットに落ち着いてきて、具体的な活路を見出そうとしている辺り、なかなか現実主義者でもあるわけである。
そうなると、カントリー・オンラインにもこの種の論客は必要かもしれないという気がちょっとしてくる。
とまれ、その大言壮語型の論陣を齧ってみることとしよう。


<第4回>

「新時代への適応準備:エンジンとオイルの再点検」


今は間違いなく時代の変革期。後世の歴史家は、農業革命、工業革命に続く情報革命と説明するだろう。
後世でどう説明されようが、今を生きる人間としては、この環境変化に必死に適応する必要がある。環境変化に適応したものだけが生き残ることができるのであるから。
外部環境の変化が激しい時は、身の回りのこと全てを多少「青さ」を含んでも、「骨太」に考える必要があろう。そして、認識された要素に思い切って事の軽重の判断を加えて、大胆に行動するべきである。 
そうした個の動きが積み重なり、社会全体が新しい環境に適応していく。
今回は「青さ」を覚悟の上で、「人間とは?」に切り込みたい。

私を含めて多くの人は、折りに触れて「人生って何だ?」と考える。
これは人間の永遠のテーマで「このテーマを持っている動物」を人間と定義できるかもしれない。
ところが、なかなかシャープに答えがだせない。なぜか・・・・。生まれようとして生まれる人間はいない。
皆、気がつけば生きている。よくよく考えてみれば「生」の原点は極めて「受動的」だ。
「受動的」なものに無理矢理「お前は何者だ?」と迫ってもまともな答えがあるはずがないのである。シャープに答がだせなくて当たり前だ。
どう考えてどう行動したか、その人の具体的な「生き様」にこそ意味があるのであるのであって、一般論として「人生って何だ?」なんて考えても迷路に入り込むだけなのである。
違う言い方をすれば、「人間は、受動的に始まった自らの人生を、能動的なものに『再定義』してそれを実践する動物。」とでもなろう。「再定義」という作業こそが他の動物とは違う人間のユニークネスだ。

そして、その原動力・エンジンを「志」と言うのだろう。
ただし、ここでも一般論として「志って何だ?」なんて考えても「人生って何だ?」と同様迷路に入り込むだけである。
個々の「志」の具体的内容にこそ意味があるはずだ。
個々の人間は自らの拠り所を、自らの力で人生を「再定義」した結果得られた「志」に求めるしかない。
先人達もこの「再定義」をいろいろな言葉で表現している。
「人生とは自分を見いだすことではなく、自分を造り出すことだ。」
「私たちとは、心構えであり、心構えとは、私たちである。」
「要は考え方である。決意である。」
「人生のエネルギーはあなたがどれだけ、目的意識を強化できるかにかかっている。」
「人生は理解するものでなく、生きるものである。」などなど。

昨今、日本では教育が問題化している。
教育を究極的に「骨太」に捉えれば、子供にこの「再定義」を促すことこそが教育の核と言えるだろう。
最近は、知識取得から能力開発へキャッチフレーズが変化してきているが、さらにその奥には、この「再定義」があるはずだ。
では、「再定義」するためには何が必要か?
1)「世界の諸相」に関する広範な知識。
2)知識を噛み砕きながら新しいものを生みだす「創造性」「思考力」。
3)他人との相対感の中での自分のユニークネスに対する認識。
4)人間を見分け、必要に応じて距離を素早く縮める対人能力。
これだと思う。
子供たちは、これらのことを、「親の背中」から、また、教室・社会で学ばなければならない。

現在進行中の技術革新であるネットは、「知識力」「交流力」「効率力」を持っている。
検索エンジンを使えばネット上の膨大な「知識」に接する事が出来る。また、地縁・血縁・職縁という枠組みや時空を超えた他人との「交流」が可能になった。さらには、ネット自体が強大なプロセスマシーンとなり、人間社会の営みがいっそう「効率」化されようとしている。
逆に言えば、人間が知識を詳細に修得する作業から相当程度軽減され、また、生活のより多くの部分を創造的にまた対人交流に使えるようになる。
「創造的活動」「対人交流」がネット社会でのキーワードだと思う。
人という漢字(二つの棒が差さえあって立っている)が示すように、人はひとりでは生きていけない。
「再定義」と簡単に言ったが、実のところ人間は100%の確信を常時もてるわけではなく、人は多くの場合他人の「承認」「認知」を必要とする(含むアメリカ人が良く使う精神科医等のカウンセリング)。
ネット社会にあって、人はその軸足を思い切って「創造的な志」に軸足を移し、ネットを通じて広い母集団のなかから共感を持つ人を見つけ、相互に支えあい、また、影響を与えあいながら人生を展開する(「オイル」)。

これが、今後の成功パターンだと思うが、どうだろう?


コラムニスト:はしもとひでと
E-mail: HidetoH@msn.com
Website: はしもとひでとのバーチャル書斎

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